「貴重なご意見ありがとうございます」が、一番テンプレ感の出る一言
クチコミ返信でよく使われる定型句のなかで、最もテンプレ感が出るのはこの一文です。
この度は貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。
丁寧で、失礼がなく、どんなレビューにも使えます。問題はまさにそこです。
なぜテンプレに見えるのか
理由は、「何が貴重だったのか」が空欄のままだからです。
読み手はレビュー本文を読んだうえで返信を見ます。そこに「貴重なご意見」とだけ書いてあると、レビューの中身と返信のあいだに接点がありません。接点がない文章は、他のどのレビューにも貼れます。だから貼られたものに見えます。
さらに、この一文には別の副作用があります。苦情に対して「ありがとうございます」と返すことで、感謝の意味が薄まることです。怒っている人に感謝を述べると、多くの場合それは形式的な処理として受け取られます。
書き換えの方法
方法は1つです。何が貴重だったのかを、1語でもいいので埋める。
たとえばこう変わります。
| 元の文 | 書き換え |
|---|---|
| 貴重なご意見をありがとうございます | 席料の記載が不十分だったとのご指摘、ありがとうございます |
| 貴重なご意見をありがとうございます | 注文時の対応についてご指摘いただき、ありがとうございます |
| 貴重なご意見をありがとうございます | 待ち時間のご連絡がなかった点、こちらの落ち度です |
やっていることは単純で、レビュー本文から名詞を1つ持ってきて入れているだけです。それだけで、この返信がそのレビューのためだけに書かれたことが伝わります。
「ありがとう」自体をやめる選択
苦情の場合、感謝から始めない選択もあります。
席料についてメニューへの記載が不十分でした。申し訳ございません。
こう始めると、いきなり本題に入ります。読み手にとっては、前置きがないぶん誠実に見えます。感謝を述べるなら、返信の最後に置くほうが自然です。
表示を直しました。ご指摘に感謝いたします。
同じ「感謝」でも、対処を書いたあとに置くと意味が変わります。何に感謝しているのかが明確になるからです。
この考え方が効く他の定型句
同じ問題を抱えた定型句がいくつかあります。
- 「今後はこのようなことがないよう努めてまいります」 ─ 何をするのか空欄。実際に変えたことを1つ書く
- 「重ねてお詫び申し上げます」 ─ 情報量ゼロの2回目の謝罪。削ってよい
- 「またのお越しをお待ちしております」 ─ 星5への返信では特にもったいない。褒められた内容を1つ反復する
いずれも、空欄を1語埋めるだけで直ります。
まとめ
- 「貴重なご意見」は、何が貴重かが空欄なのでテンプレに見える
- レビュー本文から名詞を1つ持ってきて埋める
- 苦情の場合、感謝は冒頭ではなく対処の後に置く
- 同じ問題を持つ定型句は、すべて「空欄を埋める」で直る
謝罪を重ねずに書くための4手順、入れてはいけない5つの語、業種別の言い換え。印刷してバックヤードに貼れます。
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